プーチン、プーチン、プーチン。アンゲラ・メルケルは政界引退の際に本当のところは「心地よい話」だけに言及するつもりだったにも関わらず、この元首相はロシアとクレムリン皇帝について口を開くのである。それには正当な理由がある。
退任から6ヶ月後の6月初旬、小規模イベントにて元首相として初めて公の場にて演説を行った。自らの今後の役割を模索している様子であった。もう首相ではなく一市民であるため、言動に十分気を使っているのだろう。「傍聴席からのコメントには答えられません」とのこと。「これからは私個人の人生です」。
それは建前に過ぎなかったのだろう。長くは続かない。メルケルは政治問題、とりわけプーチンとロシア、への見解を述べている。ドイツの異常なまでのロシアへのガス依存態勢が彼女にとって好ましくないことは疑いないが、この問題は少なくとも政治判断の誤りによるということも見逃せないのであろう。
メルケルは自らの対プーチン政策に対し、選択の余地がなかったとみなす
メルケルが政治について口を閉ざす様になるとは誰も予想できなかった。歴代の全ての政府首脳ら同様に、彼女は自らの歴史書内での描写にこだわりを持っている。もっとも気取らないCDUの政治家はその様なことは言わないだろう。何年も共にしてきた秘書ベアテ・バウマンと自らのDDR(東ドイツ)での人生を綴った著書を出版すると発表したことが、これらを物語っている。
メルケル氏の公での発言等はこちらのサイトから見ることができます。
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これまでのメルケルの発言でもっとも印象が強かったのがこちらである:とりわけ自らの対プーチン、ロシア政策であるが、あえて彼女の好きな言葉を用いれば、選択の余地はなかったのである。今更弁明するつもりもないとのこと。一方でプーチンが変わらないとも思っていないようだ。どうやら彼女にはプーチンを止める策があるようだ。