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ショルツの原子力宣言が人々を政治劇場へと引き込む

世界中が今ショルツの政策方針に注目している。3つの原子力発電所を引き続き稼働させるといった、勇ましい宣言に。これは実際に首相の権限が強力であることを示している。ここではいくつかの驚くべき洞察がなされる。

彼の政策能力については次のように評価される。この首相は原発の継続稼働への決断は下していない。この決定は首相官邸内で行われたものではない。ショルツによるかの”勇言”には中身がない、というのは彼は自らの口でそのようなことは述べていないからである。疑問はまだある。

”勇言”ではなく古典的な妥協案である

ショルツは連邦政府内でとりわけロバート・ハベック(緑の党)とクリスティアン・リンドナー(自由党)の抗争を終息させた。首相の政策決定は、基本的に次の 2 つの技術的要素から構成されている。2つのみでなく3つ全ての原発を継続稼働させることに自由党は満足する。原発を翌年の4月中旬まで稼働させることには緑の党が満足する。「原子力は終わった」とは、バーデン出身のヴォルフガング・ショイブレの言葉を文化的に取り入れた、緑の議会グループのリーダーであるコンスタンチン・フォン・ノッツの発言である。

これは古典的な妥協案である。緑の党自由党の敗北がこの事態から抜け出す方法である。イデオロギー的な勝利宣言のみを目的とすることから、緑の党自由党はすでに敗北しているといえるだろう。

しかしこれは不適切な偏りであり、次のようにもいえるだろう。国民を騙すような試み。皮肉にもショルツの決定に対する歓喜自由党の敗北を招くこととなる。原子炉の稼働時間に換算すると、緑の党はリベラル派の10倍弱の時間を費やした。緑の党が4ヶ月間の原発延長稼働をを主張する一方で、自由党は3つ全てを1年延長稼働させることを希望する。

ショルツ発言の後、初めて政権が動く

話をショルツに戻すと。政策判断は次のように翻訳できる。漁夫の利を得る。ここではショルツが漁夫である。指導力不足から連立政権から絶えず口撃を受けていたショルツが、突如として強力な権限を手にする。ここに来て彼は求心力を取り戻す。

この政策決定によって、初めて政権が正常な方向へと動き始める。現在、連邦環境省によって法案が作成されなければならないが、これは次のことを意味する。予想外にも原子力反対派のステッフィ・レムケンが法案を作成した。緑の党内の言語を用いれば、”ハイリスクテクノロジー”であるにもかかわらず。これは馬鹿げたことであるのは自明で、実際にそうである。原子力が”ハイリスクテクノロジー”であるなら、直ちに全て停止しなくてはならないだろう。もっとも首相の就任宣誓が矢面に立つことになるだろう。

 

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