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ショルツがレオパルド戦車の提供を頑なに拒む真の理由とは:そこには軍事大国アメリカの影響が?

戦車論争は軍事戦略的観点から行われる一方で、ショルツの残念な決断がアメリカとの政治的関係に大きな影響を与えうる。ショルツの真の思惑とは一体何なのか?

論争の渦中にいる連立政権そして外国からの批判:ドイツの戦車提供拒否の影響は国内にとどまらない。祖国防衛のために一刻も早く主力戦車を必要とするウクライナに対し、ショルツは頑なに手を差し伸べることを躊躇する。

当然のことながらドイツは他国へも主力戦車の無償提供は行なっていない。現時点においてEUNATO傘下の16カ国にこのレオパルド戦車が配置されていて、各所有国は一刻も早いウクライナへの提供を望んでいる。

戦車論争は軍事戦略的観点から行われる一方で、ショルツの残念な決断がアメリカとの政治的関係に大きな影響を与えうる。

いずれの場合にも正当な理由がある

ショルツの対応が世界中を賑わせている。「提供するもしないもそれぞれに足りうる正当な理由があります。これらは互いに天秤にかけられなければなりません。」、とラムシュタインの会合にて連邦防衛大臣ピストリウスは述べた。

提供する理由は明確である:当然戦車無しではウクライナは防衛線を維持できない。では拒否に足る理由とは?常に論点となってきたのが、いわゆるプーチンの地雷のデッドラインを超えられるのか、そして戦争に加わる覚悟はあるのか。もちろんこれだけが戦車提供拒否の理由ではないだろうが。ただショルツは他国に対してもレオパルド2戦車の無償提供を行なったことはない。

アメリカにとっては千載一遇の機会?

これまで議論されてこなかった理由は、およそアメリカとの国益関係が絡んでいるとされる。ノイエ・チュアリッヒャー新聞によると、アメリカは欧州各国がレオパルド戦車を提供しそして自らもそれに続く形で戦車を供給するといった台本を描いているとのことである。アメリカにとっては欧州に戦車を売り下す千載一遇の機会となり得るのである。

とりわけアメリカの兵器製造の競合国となっているのはドイツであるが:レオパルド2戦車はその性能、完成度の高さから第二次世界大戦末期に製造された”ティーガー”同様その量産が困難である。

巨大な軍事的影響を世界にもたらすアメリ

早くも 1960 年代に、アメリカ人は「国防安全保障協力庁」を設立し、アメリカの武器を購入するよう各国に働きかけてきた。アメリカが提供した武器を所有する軍事同盟国は米国主導で動かすことが容易になる。欧州諸国がアメリカから武器を購入する場合、供給量を増やし、価格を下げることができる。これら収入がアメリカに富をもたらし、さらなる最新鋭兵器の開発を可能とする。

板挟みにあるショルツ

これら軍備政策の利益がショルツの決断に影響を与える。レオパルド2戦車を提供した場合、ショルツは国益を毀損することになる。もし提供しなければ、世界中から批判を浴び、ここでも何らかの形で国益を損ねるであろう。

世界各国が米国と戦車協定を締結することはドイツの兵器産業の損失の繋がり、ベルリンの政治的影響力も低下させうる。首相にとって重要なものとは何か。

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