欧州では気候変動阻止に向けての産業のエネルギー移行が急務となっている。中でも緑水素は近未来に、現在主要なエネルギーとして利用されている天然ガスに取って代わることが期待される。目標は、2050年までに温室効果ガスを少なくとも95%全産業において削減することとなっている。
欧州学会においても、今後必要とされていく緑水素をドイツや欧州はどう確保できるのかが議論されている。分析結果が示すには、欧州産業はその生産過程において大量の熱電力を必要とするにもかかわらず、2050年までにこれらを賄えるほどの緑水素の確保が求められている。専門家はいずれにせよ温室効果ガス削減のためには主に産業における大きな構造変化が必須であるとみなす。集計された資料によって欧州中での産業エネルギーの緑水素への変換は可能であることが示されている。しかしいずれにせよ、再生可能エネルギーや緑水素を基盤とした電力生成への抜本的な構造改革へ向けた綿密な計画が求められる。
ドイツでは水素の大量生産が困難？
電力と水素に関する議論は2050年まで続きそうである。特に産業での電力需要は1,350〜1,800TWに増加し、一方で水素の需要は1,350〜1,800TWに及ぶ可能性がある。そしてこれらの中核をなすのが鉄鋼、セメントそして化学分野である。生産工程を欧州外へと拡大させることで、水素の欧州内での水素需要を抑えることも可能である。エネルギー効率の上昇により、2050年までに追加のエネルギー需要が制限されることとなる。
緑水素の生産には多くの再生可能エネルギーが必要とされる。電気自動車情報局によると、緑水素の生産に良好な場所としてフランス、スペイン、英国そしてノルウェーが候補に挙がっている。
