経済においては極左、移民政策においては極右?ザーラ・ヴァーゲンクネヒトの立ち位置を単純に特定することはできない。だが彼女独自の道を進むのはもはや伝統となりつつある。
ザーラ・ヴァーゲンクネヒトが立ち上げる政党は左翼、それとも右翼なのか?共産党前委員長は彼女の経済政策に関しては極左的であるとみなす。一方で移民政策においては極右的であるとみなす。
彼女の政策の軸は一体何なのか?そして危険性は?
過去数十年に渡り全く支持がなかった時でさえ、常に彼女は自らの独自の道を進み、いわゆる国家ポリシェビキと称されていた。彼女の基本的な考えは大抵が左翼的思想に基づいたものであった。彼女は決してヒトラーによる”国家社会主義者”には当てはまらないが、西欧との統合及び自由民主主義を拒否するといった側面も持ち合わせている。
ザーラ・ヴァーゲンクネヒトはムッソリーニ同様”国家社会主義者”ではない?
イタリアのファシズム提唱者ベニト・ムッソリーニもまた彼女同様の道を歩んでいた。20歳の頃に彼はスイスに移住した。
彼は当時社会主義運動に熱中し、また商工業組合の組合長であったにも関わらず右翼的思想に傾倒していった。
彼はブルジョア民主主義と労働者階級の解放といった究極の目標を変えることなく、しかし一方で左翼が主張するグローバリズムを非難していた。彼は明らかに国家社会主義は社会主義よりも遥かに有望であると認識していた。
国家ポリシェビキはヒトラーの国家社会主義と親和性があるのか?あらゆる点を考慮してこれが誤りであることは明確だが、これら2つの思想は往々にして同一視されてしまう。
そもそもムッソリーニのファシズムは人種に重きを置いておらず、何より国家に尽くすといったある種慣習を重視していた。
これらのことからヴァーゲンクネヒトは国家社会主義者ではなく、”国家ポリシェビキ”といえるであろう。彼女の立ち位置は経済政策においては左翼的で社会政策においては右翼的である。彼女にとって国家社会主義は敵ではなく、目標遂行のための手段なのである。