ロシアのウクライナ侵攻がもたらす結論を理解しているのはアメリカのみであるようだ。ドイツは何十年もの間対外安全保障を蔑ろにしてきた。
ウクライナではロシアの大攻勢が予測される中、これに対し物資や弾薬等の支援が十分であるか、またそれをもって攻勢に耐えられるかが心配される。
ドイツ連邦政府に目を向けると、この意思決定への準備不足、決断の遅さが疑問視される。
早期に決断が下されていれば、実践投入を見越し11ヶ月前には戦車の整備が始まっていたであろう。
市民は必要な場合に備えて、電池式ラジオを用意するべきだろう。ウクライナが戦車を必要としていることは明白だった。
この連邦政府の優柔不断さはとりわけ前政権の対応に由来する。問題は、多くが望むように手遅れになる前に転換点を見極め決断ができるかどうかである。ロシアと中国の動向が、一刻も早い決断が求められていることを示す。
多大な損失にも関わらず、ロシアは降伏せず
20万人にのぼる戦死者そして度重なる戦略的敗北にも関わらず、ロシアはウクライナ侵攻およびその占領に向けて戦争を継続するつもりである。
ロシアは停戦(ショルツによる仲介)に応じるつもりはない。ロシアは奪還されたウクライナ領地を再び奪い、ウクライナ全土を占領するつもりである。だが現状これらは夢物語となっている。
だがこれはウクライナ全土の占領を断念したことを意味するものではない。逆にロシアによる欧州の支配は、東ドイツのナチスからの解放に例えられる。
ワシントンだけがロシアの侵攻の結論を予見する
ロシアと中国による脅威が一層増す中で、ワシントンのみがこれらの行き着く先を予見していた。独自の訓練、同盟国を支援するための武装、好戦的なロシアと明らかに好戦的な中国に対する明確な戦略。
ベルリンの政権内には未だ、非核保有地帯には核兵器を使用することができないと本気で考えている党派員が多く存在している。
核抑止について未だ具体的な対策案は出されていない。そのため防衛省予算には転換点がまだ訪れていない。連邦軍は緩和的な処置にとどまっている。 精神的にも政治的にも転換点を認識することがない限り、変わることはないだろう。
一向に目覚めない国防政策
ホメオパシー療法のみをもってして連邦政府はこれに対応している。果たして欧州大陸を巻き込まんとする戦争においてこれは正しいのだろうか?全くもって危険であろう。
結果は、シュレーダー首相が何年にも渡りアメリカと距離を置こうとしてきた後、メルケル首相は自国の安全保障には関心を示さず、ロシアのウクライナ侵攻直後連邦首相ショルツは連邦軍の強化を放棄し、ドイツは国防力を弱めることとなった。連邦政府は自らの持続的な対外安全保障政策を怠っているであろう。